2019/10/27

約5年間働いた「駅員バイト」の話

世間では退職エントリなるものを書くのが流行っているらしいが,長いこと続けてきた駅員のアルバイトって意外とレアな経験だと思うし,その話をしたいと思う.とは言ってもこのご時世,守秘義務やら何やらが厳しいので個別具体の話というよりは「駅員バイト総論」的な感じでいきたいと思う.

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そもそも駅員にアルバイトがいるんだ,という話

「実は駅で駅員のバイトやってまして……」みたいな話をすると「え!?駅員ってアルバイトいるんだ?」という反応がほぼ間違いなく返ってくる.

コンビニにアルバイトがいるのは当たり前,飲食店にアルバイトがいるのが当たり前,だが駅にアルバイトがいるのは当たり前とはならないのは何故か.理由はよくわからないが,駅にアルバイトがいることはあまり知られていない.

実は年配の方のほうがその存在をよく知っていて,彼らが現役時代はラッシュアワーの混雑が今よりも酷く,毎朝ホームに「押し屋」がたくさん立っていた(今もいるけど昔よりは少ない)からだと思われる.

駅員バイトは何をするのか

「え?駅員ってアルバイトいるんだ?」に次ぐ質問は「具体的に何やってるの?」であることが多い.

これは会社によってだいぶ異なるのだが,他社で働く知人から聞いた話も併せて考えるとおおよそ以下のような仕事がある.

ホームでの整理業務

いわゆる「押し屋」もこれに含まれる.朝のラッシュアワーにホームに立ち,主にドアからはみ出したお客様,及び明らかに閉まりかけの電車に無理やり乗り込んで挟まったバカを押し込む仕事である.

接客業とは基本的に丁寧な接遇が求められるが,どういうわけか「押し屋」は多少の雑さが認められており(あの状況でクソ丁寧にやっていたらいつまでも発車できないし),「はい押しますよ〜^^」という感じでグイグイ押し込むので良いストレス解消になる.

「押し屋」のコツだが,ポイントは「押す」ではなく「ドアをこじ開ける」ところにある.両手で体重をかけてドアを無理やりこじ開け,少し隙間を作った上で挟まった人やモノを無理やり押すのがコツだ.

会社によっては「押し屋」だけでなく,旗を振ったりしてドア閉の合図を出したりする仕事を任されるところもある.

一般的に「駅員バイト」といって最も想像しやすい仕事はこれなんじゃないかな.

改札口業務

多くの駅で改札口の横に窓口があり,駅員がポツネンと立っているだろう.アレもバイトがやる会社が存在する.

改札口の窓口業務の内容は多岐に渡り,「○○に行くのはどの電車か」「××に行くには何口から出れば良いか」といった問い合わせから始まり,切符の発売や精算,ICカードの処理や払い戻しなんかもしたりする.「いま行った列車に荷物を忘れた!」という申告を受けて先の駅に回収依頼を出すこともしばしば.

大きな会社,大きな駅では別途専用の窓口があったりするが,中規模以下の駅では唯一の「窓口」であるため,何でも屋になりがちな仕事である.

普通に何の異常もなく電車に乗るだけでは気が付かない様々な規則,例外,特殊な処理があり,覚えるのがかなり大変だが,一度覚えてしまえば決まったフローで処理すれば良いだけなので慣れてくると鼻をほじりながらでも処理できるようになる.

清掃

日中時間帯は清掃スタッフが巡回する駅も,朝晩は駅員が清掃しなければいけないところがある.昨今,テロ対策やら何やらでゴミ箱を設置しない駅が増え,結果としてポイ捨てが常習化しているのが現状.実際清掃する身から言わせてもらうと,清掃に手間をかけるくらいならゴミ箱設置したほうが早いんじゃ……という気はしなくもない.

あと,駅構内が禁煙なので駅の外にタバコをポイ捨てするやつがマジで多い.死ねばいいと思う.

券売機前案内業務

一部の駅で,券売機の前にフラフラしている駅員を見たことがあるかもしれない.アレだ.

多くの人が券売機をSuicaのチャージくらいにしか使わなくなっており意外と知られていないかもしれないが,最近の券売機の機能は多岐にわたっている.定期券の購入,指定券や特急券の購入,企画券の購入などだ.

多機能になったのは良いのだが,それと共にわかりにくさも増している.そこで券売機の前に案内要員が配置されているのである.

ちなみにJRの場合,みどりの窓口に長い列を作っている客の目的のほとんどは指定席券売機で遂行可能であるから,いい加減券売機の使い方を覚えていただきたいと切に願っている.そうでないと,例えば学割のように窓口でないと買えない切符を買うのに無駄に時間がかかるからだ.おい聞いてるか,「新横浜から大阪までの切符」とか言ってるそこのお前だよ.

泊まり勤務

泊まりのシフトがある会社・駅も存在している.

これは意外と知られていないことと最近わかったのだが,基本的に駅には誰かが宿泊している(一部の早朝夜間無人駅を除く).当たり前のことだが,駅は終電より後に閉鎖し,始発よりも前に開けなければならない.当然,終電の後や始発の前に通勤手段はない.故に泊まる.よって社員の勤務体系は24時間,朝から仮眠を挟んで翌朝まで,というのが基本.

多くの場合これは社員が行うのだが,一部ではアルバイトが宿泊するシフトも存在している.

駅員バイトをやってよかったこと

駅員バイトをやっていて良かったことで一番大きいのは話のネタになるということかと思う.

前述の通り,駅員バイトの存在はあまり知られていない.そして実際にコンビニやら塾講師やら家庭教師やらと比べると,駅員バイトを経験したことのある学生は少ない.「実は駅員バイトやってて〜……」というのは雑談の入りとしては最高.

そしてそれは就活の際にも結構効いてきた.エントリーシートには多くの場合アルバイト経験を書くところがあるのだが,学生が軒並み「塾講師」「コンビニ」「居酒屋」「カフェ」とか書いているところに「駅員」とだけ書くインパクトは大きい.

面接官がエントリーシートをふんふん言いながら眺めて「アルバイト,駅員……駅員!?」となったことは数知れない.特に大都市圏であれば日常的に鉄道を使っている人が多く,結構興味を引くようだ.

ちなみに面接中の「駅員バイトをしていて大変だったことは」という問いには「駅という場所柄,サービスを提供する相手は年齢,性別,国籍と多種多様.例えば年配の方には大きな声でゆっくりと,忙しそうなサラリーマンには簡潔に案内するなど,お客様に合った案内の仕方を考えるところに難しさと面白さがあった」と答えると非常に受けが良い.

駅員バイト経験者で就活中のお前らはこの回答使っていいぞ.内定もらったらお茶菓子を持って挨拶に来るように.

その他良かったことというと,近隣の路線に詳しくなったことだろうか.とは言っても最近は乗換案内のアプリがかなり成熟してきているので,そちらを使ったほうが早いことのほうが多い.

大変だったこと

クレームの嵐

業種柄,褒められるよりはクレームを受け付けることのほうが多かった.

鉄道はインフラということで,通常通り動いて当たり前と思われているフシがある.逆に言うと何かトラブルがあり異常があると,不満が噴出しやすいサービスとも言える.

自分のミスで迷惑をかけられて怒られるというのは良いのだが,やれ「さっき行った車掌の態度が横柄だった」とか言われても「知らんがな」というのが正直なところ.しかしまあ,組織で働くとはそういうもんだしなあと自分を納得させていた.よく後輩には「この仕事の給料の半分くらいは理不尽なこと言われてる代だ」と言っていた.実際,暇な駅だと突っ立っているだけの時間のほうが長いので,そういう給料構成でも妥当かなと思う.

何かミスがあった,異常があったからクレームが来るというのは仕方ないが,中にはイチャモンをつけたいがために意味不明なクレームを投げつけてくる客も結構いた.

後輩ではそれにショックを受けている奴もいたが,自分は性格が歪んでいるので
「こいつwwwwwwwwwいい歳こいて時給しょぼいアルバイトにブチギレて時間無駄にしてるンゴwwwwwwwwwww」
とか,
「ああこいつは人生が充実してないのでぼくに怒鳴るしか楽しみが見いだせないんやなあ,悲しいなあ.しょうがないので聞いてやっかwwwwwwwwwwwwwwwwwノブレス・オブリージュwwwwwwwwww」
のように,何故かクレームをつけられているくせに滅茶苦茶楽しんでいた.

仕事として割り切るなら意外とサービス業もいけちゃう性格らしい.

朝早い

朝のシフトはラッシュアワーが始まる前に勤務駅についている必要があるわけで,結構朝が早い.

職業柄,仕事の内容には適当な人も時間にだけは厳しかったりするので遅刻は許されない.幸いなことに5年いて遅刻は1度もしなかった.

おわりに

というわけで,なかなか貴重な経験ができたと思う.

駅員バイトに興味がある人は「○○(会社名) 駅員 バイト」で検索すれば会社の採用情報ページがヒットすると思う.JRは東京支社以外だと駅にあるポスターを探さなければいけない模様.

しかし大きな駅は広くてポスターがあるかないかわからないので,勇気があるならその辺の駅員をとっ捕まえて聞くのが早いと思う.

そんなわけで,駅員バイトやめましたという報告と,特に学生は駅員バイトやってみたらどうですか,というお話でした.

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