前から噂されていたニコンのフルサイズミラーレスカメラが新マウント「Z」を引っさげて登場した.フルサイズミラーレスを牛耳るソニーのα7シリーズにどこまで食い込めるか,スペック面から検討してみたい.
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スペック比較
Nikon Z7 | Nikon Z6 | SONY α9 | SONY α7R III | SONY α7S II | SONY α7III |
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有効画素数 (万) | 4,575 | 2,450 | 2,420 | 4,240 | 1,240 | 2,420 |
AF測距点 | 493 | 273 | 693 | 399 | 169 | 693 |
連写 (/s) | 9 | 12 | 20 | 10 | 5 | 10 |
手ぶれ補正 (段) | 5 | 5 | 5 | 5.5 | 4.5 | 5 |
ファインダ画素数 (万) | 369 | 369 | 368 | 368 | 235 | 235 |
防塵防滴 | 「高い」 | 「高い」 | 「配慮」 | 「配慮」 | 「配慮」 | 「配慮」 |
重さ(g) | 585 | 585 | 588 | 572 | 584 | 565 |
本体価格 | 44万 | 27万 | 42万 | 36万 | 25万 | 25万 |
Nikonの2機種についてはAV Watchの記事,SONYの各機種についてはそれぞれの公式HPスペックシートから引用した.価格についてはニコン2機種は公式の店頭予想価格,SONYの各機種についてはヨドバシカメラでの実売価格を引用した.
細かいスペックを挙げ始めるとキリがないので,写真を撮るなら誰でも気にしそうなベーシックな項目のみ挙げている.
新機種「Z7」「Z6」の位置づけ
大枠として言われていたのは「Z7」が「高画素モデル」,「Z6」が「オールラウンドモデル」とのことだが,スペックを見ても対決構造は「Z7 VS α7R III」「Z6 VS α7 III」であることは間違いない.画素数もそうだが,価格もそれぞれR IIIとIIIを意識している値付けに感じられる.
Z7 VS α7R III
「高画素モデル」の両者は画素数を始めとして様々な点で似通ったスペックになっている.
興味深いのはAF測距点でZ7が勝るということ.AFの速度,正確さはSONYのαシリーズの特徴の一つでもあったが,そこに高画素機で殴り込みにきているのが興味深い.
測距点の数で勝ったZ7が実際の運用においてAFの速度,正確さでどこまで差をつけられるかという点が実機が出てきてからの注目点になるかと思う.
Z6 VS α7 III
「オールラウンドモデル Z6」と言うなればα7シリーズの「ベーシックモデル α7III」の両者も画素数などで似通ったスペック.
高画素モデル対決と大きく異なるのは,α7IIIがAF性能で大きく勝りそうだということ.α7IIIは半年ほど前に発売開始となったモデルだが,前作α7IIからAFが大幅強化されている.大幅強化されすぎて「どこがベーシックだ」「R IIIを食ってる」とまで言われただけあってAFでは一歩先を行っている感がある.
Z7, Z6はXQDカードを採用
スペックシートに記入するとソニー側がごちゃごちゃするので書かなかったが,Z7, Z6の対応メディアはXQDカード.話には聞いていたが実際にお目にかかったことはなく,SDカードなどよりはどちらかというとプロを意識したメディアという印象がある.
上述のスペックだけを見ると掴みどころのない印象だったが,記録メディアに注目すればミドルからハイアマ,そしてプロまで幅広く意識するソニーに比べて,ニコンは新機種でまずはプロを取りに来たという可能性がある.
そういう意味では 「vs α9」という構図もあり得るのだが,こちらはAFと連射速度で圧倒的立ち位置にあるので単純にα9と競わせる構図はイマイチそぐわない気がする.
Zシリーズの今後
スペックを挙げてごちゃごちゃ言ったが,実際のところレンズ交換式カメラがどれだけ伸びるかはレンズシステム全体がどれだけ充実するかの影響のほうが大きかったりもする.
その点Zシリーズが魅力的なのは,後発故に弱点を潰した新マウントを採用できていること.元々APS-C向けに開発されたがゆえに口径の狭さがボトルネックになっていると言われているEマウントとは対照的に,Zマウントは大口径のマウントでレンズ設計の自由度は上がっている.公式発表ではF0.95のレンズの提供を考えているということで,この点の強みは大きい.
後発であることはこうした強みに繋がると同時に弱みにも繋がる.それは後発故にレンズラインナップに見劣りがすること.α7投入直後もレンズがないと散々言われていたのも有名な話である.Zシリーズはこの弱みを当然潰しに来ていて,別売りのマウントアダプターを使用することでラインナップ豊富なFマウントレンズを使える.
Fマウントといえば長い歴史を持ち,販売されているレンズの豊富さはEマウントのそれとは比べようもない.更に言うと,現状プロユースは一眼レフが主流なわけで,そこからの移行でFマウントレンズをそのまま使えるというのは強烈なアピールポイントになると思う.
そう考えると,最近高級機・プロユースへの訴求力を強めているSONYサイドからすると強力なライバルになり得るのがZシリーズと言えると思う.
αユーザなので基本的にはSONYを応援しているけど,フルサイズミラーレスで独走してきた中でようやく強力なライバルが出現したわけで,ピンチでもあるけど競争が生まれることでαシリーズもより良くなっていくのが一番うれしいな,と思っている.
あとは沈黙を続けるキヤノンが最後発としてどんなモデルを出してくるか,そこが出揃ってフルサイズミラーレス三つ巴の争いになるわけで,今後の展開が楽しみだ.
しかしこうしてスペックを比べてみるとα7IIIのコスパ良すぎない?乗り換えたくなってきたんだが.
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