2014/12/28

上野発の夜行列車に乗った話

ぼく氏、帰省をする。

来春の廃止が決まった北斗星での帰省である。このチケットを取るのもなかなか苦労した。11月末に3日間、朝早くからみどりの窓口に並んで10時の発券をお願いした。…したのだが、3日間ともダメだった。3日目に至っては実家に連絡をして、近くの旅行会社の窓口にも10時発券をお願いしたが、それもだめだった。普通の旅行会社はJR券のみの扱いはしてもらえなかったりするのだが、そこは田舎クオリティー、受け付けてくれただけでもありがたい。

 というわけで1か月前の発売のタイミングでは予約を取ることができなかった。正直に言って、北斗星に乗れないのなら帰省をする意味はない、くらいに思っていた。そこでそれから数日間、JR北海道ネット予約サービスでキャンセルが出ていないか四六時中確認していた。すると12月頭のある日、B寝台1人用個室「ソロ」に空きが出ているのを発見、即座に予約した。JR北海道ネット予約サービス、先日から寝台列車の予約ができなくなってしまったが、なかなか便利なサービスだった。切符の受け取りは道内でしかできないようなことを書いていたが、なんのことはない、東京駅のJR北海道プラザでも受取ができた。意外と知られていないのではないかと思う。


 というわけで、帰省である。帰省というより、気分は旅行だ。旅の始まりは北の玄関口、上野駅。早めに着いたので上野駅を散策。相変わらずわけのわからない構造をしている。秋葉原駅の北側で東西の移動がしにくいのと並んで使いにくい構造と言ってもいいのではないかと思うくらいだ。
上の(上野とかけた高等ギャグ)画像は不忍改札の案内だが、この「不忍」、唐突に表れる古語っぽさがいい。

うろうろしていたら、ようやく発車時刻が近づいた。ちょうど上の写真のすぐ左にある弁当屋で駅弁を仕入れ、到着を待つ。

 本日の宿、北斗星の5号車の案内表示だ。北斗星に乗るのは実は3回目。これまでの乗車経験は10年くらい前に2度、どちらも札幌発上野行きであった。上野発の下り列車に乗るのははじめてだ。やはり、旅行といえば北に向かうほうが旅情があってよい。
その旅情も北の大地に幽閉されていては経験できないわけで、やはりあそこは住む場所じゃないな…個人的に。

18時45分頃だったろうか、上野駅13番線に北斗星がやってきた。この光景もなかなか珍しく、上野駅13番線は行き止まりの構造をしている。昔の東急の渋谷駅のような感じ、と言ったほうがわかりやすいだろうか。北斗星は機関車が客車を引く。ゆえに、こうして客車を前にして後ろから機関車で押すという方法で車庫から進んでくる。


 とりあえず先頭まで行って機関車の写真を撮っておく。鉄道ファンがたくさんいた。廃止報道があったし、当然か。この日の機関車は北斗星に合わせた塗装ではなく、カシオペア向けの塗装の機関車だった。運がいいのか悪いのか、以前北斗星に乗ったときにも珍しい塗装の機関車だった記憶がある。

 

機関車の側面には「がんばろう日本、がんばろう東北」のマークが。正直、東北の復興が今どうなっているのかさっぱりわからないが、しかしきっとまだ震災の傷跡が残っているのだろう。




 そして乗車。本日の寝室になるB寝台個室「ソロ」である。決して広いわけではないが、開放B寝台と同じ値段で個室に乗れるのだから儲けものだ。人気があるのもうなずける。
発車し、一路札幌へ向かって走り出す。さっそく上野駅で買い込んだ駅弁を広げる。途中駅では帰宅途中のサラリーマンの姿が見える。疲れ切った企業戦士を尻目に食う飯、うまい。

 ロビーカーを覗くと、予約せずに食堂車を利用できるパブタイムを待つ乗客であふれていて、とてもゆっくりできそうにない。宇都宮を過ぎ、車窓もただ暗闇が広がるのみ。となれば早いが、寝ることにしようと決めた。布団に入るとき、ちょうど列車は郡山に止まっていた。4番線に到着したが、その横は2番線。気になって調べたところ、3番線はないわけではなく、別の場所にあるようだ。
 なかなか眠れない。やはり、揺れる。ちょうど線形が悪いところなのかわからないが、通勤列車で思わず眠りに引き込まれるような揺れ方ではなく、まるで地震の揺れ方のようだ。寝台特急という環境に興奮しているのかもしれない。それでも目を閉じていると、知らないうちに眠りに落ちていた。

 目が覚めた。寝はじめてからそれほど時間は経っていない。外を見ると、仙台駅に止まっていた。早起きするつもりではあったが、さすがにこれでは睡眠時間が足りない。また目を閉じると、今度はあっさりと眠気がやってきた。

 パチパチという小さな音で目が覚める。時刻は3時前。外を見ると、雪が舞っている。粉雪が当たってした音なのかもしれない。スマホの地図を見ると、岩手県と青森県の県境にいるようだ。4時間くらいは寝たようだし、この時間ならロビーカーも空いているだろうと思い、ロビーカーへ行ってみる。
 思った通り、人は少ない。お酒片手に外を見ているおじさんと、酔いつぶれて寝ているおじさんがいるだけだ。ソファに座り、外を見ながら物思いにふける。どうしてか、中学時代や高校時代の宿泊を伴う行事のことを思い出す。また新たに黒歴史を思い出してしまった。やめてもらいたい、本当。列車が止まり、顔を上げると青森駅に止まっていた。ここで青函トンネルを抜けるための機関車に付け替えるのだ。時刻は4時半。ホームの電光表示板には弘前行きの始発列車の案内がされている。昨日の19時に上野を出て、4時半に青森。改めて東北の広さを実感した。

 列車は津軽線に向かう。いよいよ雪が深くなってきたように思う。青森という、北の果ての特殊環境のせいか、寂寥感みたいなものを感じる。再び列車が止まり、外を見ると蟹田駅。太宰治が小説「津軽」で友人の家を訪れたエピソードを思い出す。ここで列車の行き違いをするようだが、対向列車が遅れているようで、なかなか出発しない。

 そうこうしているうちに雪が激しくなってきた。吹雪いていると言っていいレベルではないかと思う。しばらくしてようやく、貨物列車と札幌発青森行きの急行「はまなす」が通過し、北斗星が動き出した。はまなすといえば日本唯一残る急行、結構人気があると聞いていたが、座席はガラッガラだった。北海道新幹線が開業した後のはまなすはどうなるのだろう。北斗星の廃止が決定した今、カシオペアとはまなすの行く先が気になるところだ。
 いくつかのトンネルを抜け、そしてついにいつまでたっても出口の気配がないトンネルに入った。そしてようやくこれが青函トンネルだと気づく。トンネル特有のゴォーという音が眠気を誘い、ロビーでうつらうつらしてしまった。

 ふと自分が眠っていたことに気づく。まだ青函トンネルを抜けていないようだ。ロビーカーには少し人が増えていた。驚いたことに小学生くらいの子供もいる。そして青函トンネルを抜け、ついに北海道。空が少し白んでいる。青函トンネルの手前ですれ違いを待った貨物列車が遅れていたようで、函館の到着は40分ほど遅れるようだ。朝食は予約なしでも食べられるので、食堂車で和定食を食べた。普段は朝ごはんにパンばかりで、久しぶりに朝飯に白飯を食べる。

 朝食を終え、函館に到着。函館では機関車の付け替えのためにしばらく停車する。久しぶりの北海道の空気でも吸おうと外に出てみた。寒い。横浜より数段寒い。思わず変な声が出る。つい2年前までこの寒さの中生きていたはずなんだが…。果たしてどうやってこんな冬を乗り越えていたのか、もうわからない。
 ホームの上には当たり前だが雪が積もっている。実は、先日滑りにくい冬靴を買ったのだが、履いてみたら靴紐がおかしいのだろうか、すぐにほどけてしまうので普通のスニーカーを履いてきた。故に滑る。超滑る。受験生だったらこれだけで浪人確定だ。写真を少し撮って早々に車内に帰還した。

函館を出るころにはだいぶ日が昇ってきた。広がるのは一面の雪景色。なるほど、これが冬だ。遠くには駒ヶ岳だろうか、山が見える。

さらに北上して森駅を過ぎると、眼前に内浦湾が広がる。やはり、太平洋側の海は見ていてすがすがしい。今日はいい天気だ。

なんて思っていたら天気は一変。雪が降っているどころじゃない、空は真っ白。長距離列車に乗っていると天気の変化が面白い。


 長万部を過ぎて室蘭に近づくと、またしても天気は快晴に。この辺りは雪が少ないとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。まさか12月末に雪が積もってない場所が北海道にあるとはたまげた。
 苫小牧までは雪が少なかったのだが、千歳から急に雪が増えた。南千歳から札幌までは、新千歳空港に行くときにいつも見た景色だ。この辺りは雪が多い。
 12時前、結局青函トンネル手前で発生した40分の遅れをほとんど回復できず札幌に到着した。建物に覆われているからか、ディーゼルの音がすごく反響する。札幌駅はうるさい。ここで電話したらきっと何も聞き取れないだろう。


 北斗星も来年春には廃止、その後しばらくは臨時列車として運行するらしいが、もう乗ることはないだろう。ついにブルートレインが日本からなくなってしまうのは残念だが、最後にまた乗れて本当に良かった。
 今度の帰省は北海道新幹線が札幌まで開業してからにしようか。札幌開業予定は2035年度…もう40歳とかなんですがそれは…

2014/11/30

Project Morpheusで新世界を体験してきた

前から言ってたProject Morpheusの体験会に参加してきたぞ。

先に感想だけ書くと、すごいの一言に尽きるわけだが、感想を書いていくことにする。
(語彙が貧困なのもあるが、それ以外の表現が難しいのも事実。詳しくは後述。)
結局モーフィアス(っていう読み方をする)って何よって話は、後に回すことにしよう。


というわけでやって来ました、ソニーのビルへ。GE2RBのときと同じ場所。
そしてGE2RBのときと同様、受付で当選番号を伝える。
GE2RBのときはレトレさまでよろしいですね?とか言われてなんだか恥ずかしい思いをしたが、今回は名前の確認はなかった。
前回、

でももし「ハナクソマン」で登録してたらどうなるんだろう。
受付の人「ハナクソマン様でよろしいですね?」となったりしちゃうのだろうか!!?!?

なんて言ったが、結局今回も「レトレ」で登録した。チキンとか言うな。マジで呼ばれたら恥ずかしいだろ。


さて、ここでそもそもモーフィアスって何よっていう話をしたい。
この記事の目的は、モーフィアスの話題を広めることだ。
後述する開発者の人からも「友達に色々言ってモーフィアスについて広めてください」と言われているのだ。
だがぼくは友だちが少ない。故にここで書く。

モーフィアスは「VRヘッドマウントディスプレイ」の一種だ。
この時点でなんのこっちゃ、となるのは、数少ない現実の知り合いに話したときにそうなったからわかっている。
まず、ヘッドマウントディスプレイというのは字面通り、頭にかぶるディスプレイ、ゴーグルにディスプレイがついたようなものだ。
で、VRというのは「仮想現実(Virtual Reality)」ARといいこの手の訳し方あまりすきじゃないんだけどの略で、wikiとか見ると色々書いてあるが,「仮想現実」という日本語訳のほうがわかりやすい。
つまり、VR、というかVRヘッドマウントディスプレイは、頭に被ったディスプレイの映像を見ることで、そこに別の空間があるように感じるもの、と説明できるだろうか。

アニメ見る人にわかりやすく言うなら、ソードアート・オンラインのアレである。
(ただし脳との直接のリンクはしない。あくまで視覚だけ。)

そしてこのモーフィアスが一部ネット上でものすごく騒がれるようになったのが、今年9月のSCEJAプレスカンファレンスである。
そのとき公開された映像が、

こちらである。
アイマスのTシャツ着てグラサンかけたおじさん(失礼)のインパクトがすごいのは確かにそうなのだが、大事なのはそこではない。

そして多くの人が、

と感じ、TGSの出典が取りやめになるほどに話題沸騰しすぎたのがこのサマーレッスンである。

上の映像を見てもらえばだいたいわかると思うのだが、モーフィアスというVRヘッドマウントディスプレイを使って、まるで女の子の部屋にいるように感じながら、家庭教師をやるという設定のデモだ。
こんなんやりたいにきまってるやろ。
が、前述のようにTGSの出典は取り止めになってしまった。
ものすごく話題になったのはいいが、モーフィアスはそもそも開発中のものなので、数を用意できないというのが理由だった。
そして、今回の体験会はようやく一般ピーポーがサマーレッスンを体験できるはじめての機会と相成ったのである。


モーフィアスの説明をちょろっとするつもりが、サマーレッスンに熱意を込めた説明になってる感はあるが、話を今日の体験会に戻す。
サマーレッスン以外のゲームも体験できたのだが、私は一番最初にサマーレッスンをやることにした。
(そして結果的には一番最後にももう一度サマーレッスンをやることになった。)

係のおねーさんに手伝ってもらいつつ、モーフィアスをかぶり、ヘッドホンをつける。
ゲームがはじまった。
私の目の前には女の子の部屋が広がっている。
周囲を見渡すと(VRだから頭の動きに追随してゲーム内の視点も動く)、やはり女の子の部屋だ。

……

ンホホホwwwwwwwww成人間近にしてはじめて女の子の部屋に入ったぞwwwwww
ヒャッハーwwwwwwwwwwwwww

すでにテンションは2014年中最高を記録している。
と、そこに女の子がやってきたぞ!!!!

【速報】私史上もっとも女の子と接近した記録を更新する。

とか思ってると、話は進んでいく。
どうやらこの子は英語の勉強をしているようだが…

発音が絶望的すぎる…
これセンターのリスニングあかんやつやな…なんて変に現実的になったところで、早々にお勉強の時間を終えるつもりのようだ。
ノートを閉じて、うーんって感じで伸びをする。

あざとい。(確信)
こういう女の子は信用しちゃだめだってばっちゃが言ってた。

そして、「先生はこの夏、どこかに遊びに行くの?」と問われる。
これに頷くか首をふるかでYES/NOを答えるわけだ。

夏… まあ現実だと滅多に出かけないわけだが…
ここでNOと答えると、この後のおでかけフラグが消えちゃうじゃないか!(ギャルゲー脳)
速攻で頷く。もう首が取れるんじゃないかってくらい頷くまである。

するとその子は、「受験までまだ1年あるし、私も出かけてもいいよね?」みたいなことを言い出す。
これもYES/NOなわけだが、「まだ1年」なんて言ってると受験はあっという間に来てしまうのだぞ。
受験を舐めるな。
でも、

NOと答えると、この後のおでかけフラグが消えちゃうじゃないか!(ギャルゲー脳・再掲)
速攻で頷く。もう首が取れるんじゃないかってくらい頷くまである。(再掲)

すると、「ちょっと横向いてて」と言われる。
は?なんやねn…
っておい何か近づいてきてるぞ近い近い

「夏になったら… どこかへ連れってって…」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(歓喜)
行きます!どこにでも行きます!

このシーンの何がすごいって、バイノーラル録音使ってるからか、すごい耳元でしゃべってる感覚がするのだ。
所謂耳かきボイスみたいなのに近い。

普段、ゲームはテレビのスピーカーからの音声出力でやってるが、モーフィアス出たら絶対ヘッドホン買うって決めたね。
2個注文するまである。せっかくだしSONY製にしよう。なるほど、これがOne Sonyか。

上の動画に、今回のデモについてわかりやすくまとまっている。


とまあ、半ば魂を抜かれつつ魔女化しかけたが、ひとまずサマーレッスンの体験が終わった。
他にもいくつか体験できるゲームがあって、私も以下のゲームを体験した。

The Deep
海の中にも潜るダイバー(サッカーでわざとコケる奴ではない)の視点を体感するゲーム。
途中でサメかなんかが襲いかかってきて怖い。

VR Luge
タイトルの通り、リュージュを体験する。
頭を動かすとそれに合わせて進行方向が変わり、行き交う車を避けながら進んでいく。
地面に近いだけあって速度感がものすごい。トラックにぶつかりかけて変な声出た。

“AKB0048”דアクエリオン”多次元スペシャルライブ
最後に待ち時間短いのがこれだったので。
アイドルが戦いながらライブするというシチュエーションだった。
最後が「私たちの戦いはこれからだ!」みたいな終わり方で吹いた。


そして別室では原田さん(サマーレッスン開発チーム、上述のアイマスTシャツでグラサンの人。)と吉田さん(SCEワールドワイドスタジオ、つまりソニーのゲームソフト開発部門のトップ)に質問したり、色々話をできた.

両名ともなかなかフリーダムで、特に原田さんは「サマーレッスンは製品化されるんですか?」との質問に、「アンケートに『課金で儲けた分サマーレッスンの開発に回せ!』って書かれてたけど、それが偉い人のところまで届けばされるかも」とか「アンケートに1万円札挟んどいてくれたらできるかも。まあ俺の飲み代に消えるんだけどね」なんてジョークを飛ばしつつ、技術的なことにも色々と語っていただけた。

と、その別室も混みあい始め、他にも話を聞きたい人もいるだろうと思い、とりあえず私は退出。
普段から考えられないくらい思いやりにあふれた行動だが、多分さっきの女の子のせいだろう。トゲ抜かれたんだね。
というわけでサマーレッスンの体験コーナーに近づいてみると、なんと数名分余裕があるようで体験できるというではないか!
情けは人のためならずってこういうことを言うのかとしみじみ感じつつ、2回目のサマーレッスン体験。
また感想書いたらすごく長くなるから割愛するけど、1回目と同じく楽しめたぞ。


こうして体験会は幕を閉じたのだが、TGSではOculusRift(別のメーカーが作ってるVRヘッドマウントディスプレイ)の体験をしたので、それとの比較もしつつ、全体的な感想を書いていくことにする。

まず最初に書いておきたいのが、メガネユーザーにやさしいのはモーフィアスということである。
Oculusは、ヘッドマウントディスプレイにメガネをはめ込んで、メガネとヘッドマウントディスプレイをまとめて装着する、みたいな感じで、正直少し装着しにくかったというのがTGSでの感想だ。
一方でモーフィアスは、メガネを掛けたままスムーズに装着できた。
正直、もし今日の体験会でメガネをかけたまま装着しにくいことがあったら、小学4年からかけ続けるメガネをついにやめてコンタクトにしようとさえ思っていたが、その必要はなさそうだ。

そして、装着つながりで書いておきたいのが、TGSにしろ今回の体験会にしろ、装着は係のおねーさんが手伝ってくれるから問題ないのだが、実際に購入したとして、ひとりでこれをスムーズに装着できるのか、というと少し難しい気がしなくもない。
そして、装着後(つまり目の前は別の空間が表示されているわけだ)にコントローラーを手探りで探すことになることにも少し不安が残る。
しかし、特に装着については開発側でもよく考えているそうなので、これからの改善もきっとあるだろう。

画質についてだが、某大型掲示板ではOculusのほうがいいのではないかという書き込みがあったが、正直そこはわからない。
なんて言ったってTGSでOculusを試したのももはや2ヶ月も前の話だし、実際にOculusとモーフィアスを同じ場所で装着しないと、なんとも言えないんじゃないのかというのが私の意見だ。
一方で、Oculusにせよモーフィアスにせよ、PS4のクラスの画質が出ているかというと、それはないということだけは言える。
モーフィアスについて言えば、画面自体は1080pらしいが、解像度よりも60fpsを維持することがゲーム酔いしないために必要らしく、その兼ね合いもあるだろう。
特に前述のVR Lugeでは周りの景色を眺めると、正直画質の物足りなさは感じた。とは言っても、あくまでPS4の普通のゲームと比べたら、という話なんだけどね。
一方サマーレッスンでは不思議と画質に物足りなさは感じていない。
「お前が女の子の太ももばっかり見てたからだろ」というご指摘は、それは確かにごもっともなのだが、それだけではきっと説明できないだろう。
だって世の中にはもっと画質の良い太ももがあふれているんだから。(意味不明)
理由はわからないものの、サマーレッスンでは画質について不満を感じなかったということだけははっきり書いておこう。

そして、今回体験したゲームのなかで、どれが一番満足かというと、まあサマーレッスンかな。
「あの子が好きなだけだろう」というのは、その通りです。
…だけではなくて、なんというか、VRの“そこにある感”を最もうまく感じられたのが、サマーレッスンだったということだ。
確かに、目の前にサメが現れたり、超高速で車の間をすり抜けるスリルみたいなのは凄まじい。思わず声が出ちゃうくらい凄まじい。
でも、“そこにある感”とはちょっと違う、そんな気がした。
これは個人の好みによるのかもしれないが、非現実よりかは現実的なテーマのほうが、(瞬間の迫力みたいなものはなくても)全体としてみればのめり込んでいるような、そんな気がした。
その点、サマーレッスンは完全に現実のそれである。
…いや、お前が女の子の部屋に行くとか非現実だろ、と言われたらそれまでだが


この「そこにある感」というのが、本当にすごい。

さっき、

ンホホホwwwwwwwww成人間近にしてはじめて女の子の部屋に入ったぞwwwwww
ヒャッハーwwwwwwwwwwwwww

すでにテンションは2014年中最高を記録している。
と、そこに女の子がやってきたぞ!!!!
【速報】私史上もっとも女の子と接近した記録を更新する。

なんて書いて、これだけ読んだらただの頭おかしい人みたいだ。

ところがどっこい、そこにある感によって、本当に私は部屋にいたし、すぐ近くに女の子がいた、と少なくとも私の脳みそはそう感じていたのだ。
だからこそ、こういう感想になったのだ。

こればっかりは、やってみないとわからない。そういうものだと思う。
言語化も難しい。だから、やってみた人に感想を聞いても「すごい」みたいなのが多いのは仕方ない。
「うっわ語彙力貧弱だなあ」なんて笑っている人が体験しても、「すごい」としか言えないかもしれない

ただ画質が向上することにスポットが当てられ続けたのが最近のゲームかもしれないが、このモーフィアスに関しては間違いなく別のベクトルで「新しい」ゲームになると感じた。
絶対に、これが発売されたらゲーム界のムーブメント(GE2風に)になると思う。

体験しないとわからない“そこにある感”、今後も体験会などの開催を検討しているようだし、機会があれば是非体験することをおすすめして、珍しく長文となったこの記事を終わらせようと思う。

2014/02/28

あるところに、1人の男子中学生がいました。

2014年2月01日 初稿
2014年2月03日 修正
2014年2月09日 修正
2014年2月14日 修正
2014年2月25日 修正
2014年2月28日 投稿
2017年6月11日 新ブログへ移設
inspired by“あるところに、普通の童貞がいました。

あるところに、1人の男子中学生がいました。
彼は本を読むのが好きでした。
ネットサーフィンも好きでしたが、1日30分までと言われていました。
でもそれに特に不満はありませんでした。彼は家で遊ぶのが好きでした。でも、遊ぶことがなくてもよかったのです。
「暇」が苦痛ではない、そんな中学生でした。

ある日、彼の家にプロバイダからの情報誌が送られてきました。
彼はちょうど読んでいた本を読み終わり、読むものがなかったのでその情報誌を読むことにしました。
そこには、当時流行りはじめていたとあるオンラインゲームについて書かれていました。
今まであまりゲームをしなかった彼は、インターネット上の2つ目の生活に、なぜか憧れたのです。

彼はそのゲームをやってみることにしました。1日30分ではダウンロードとインストールだけで終わってしまうでしょう。
でも彼は気にしませんでした。
なんとかインストールを終え、彼はワクワクしながらゲームを起動してみました。
彼の母親も興味があったようで、後ろで眺めています。
彼ははじめてそのゲームの世界に降り立ちました。
何をすればいいのか、まったくわかりません。
彼は、赤ん坊とはこんな気持ちなのだろうかと、忘れてしまった14年前を想像しました。

情報誌には、とある車のメーカーがある島に工場か何かを作っているらしく、そこで秘密のコードを入力すると車がもらえると書いてありました。
彼はとりあえずそれを目当てにしてみることにしましたが、その島にどうすればいけるかもわかりませんでした。
試行錯誤していると、パソコンの画面が奇妙に点滅しました。
何かの不具合なのでしょうか、驚いた彼は少し考えた後、時計に目をやり、そして電源ボタンを長押ししました。

しかし彼はオンラインゲームに興味を持ってしまいました。
右も左もわからないあの感覚に取りつかれたのです。彼は別のゲームをやってみることにしました。
少し前の新聞に、オンラインゲームで少年がサラリーマンから金をだまし取ったというニュースがありました。
彼にはそれも新鮮でした。絶対的強者である大人から、少年が詐欺をしうるという世界、とても面白いと思ったのです。
そのゲームは「メイプルストーリー」というゲームだそうです。彼はそのゲームをやってみることにしました。

彼はまた試行錯誤しながらメイプルストーリーをインストールしました。
少しだけ、最初にゲームをインストールしたときより慣れた気がしました。
そして彼は別の世界に降り立ちました。

そこは崖から飛び出した橋の上のような場所でした。自分のほかにも何人かいるようです。
みんなグレーのTシャツを着ています。自分と同じような境遇のように思えました。
彼はそこからどうすればいいのか、やはり見当が付きません。
よく見ると、1人だけ恰好が全く違う人がいたのでクリックしてみると、「初心者教習所に行きますか?」というようなことを言われました。
本当の初心者は、初心者教習所に入るまででかなりの時間が過ぎるのです。

彼は青リンゴのコスチュームで初心者教習所に入りました。
そこでは職業の紹介や、かわいらしい白いもこもこを殴ったりしました。
彼は「魔法使い」という職業に興味を持ちました。なぜかはよくわかりませんでした。

彼は初心者教習所を卒業しました。初心者教習所の出口の人が、ここから外は広い世界だ、というようなことを言いました。
「外の世界」には最初の画面にいたような、自分と同じような格好の人がたくさんいました。
彼は社交的な性格ではなかったので、自分から話しかけようとは思いませんでした。
でも、そんな彼に話しかけてくる人がいました。彼もまた、初心者のようです。
その人は彼に「友達になろう」と言いました。彼もそうしようと思いましたが、2人とも「友達になる」ためにどうすればいいのかわかりません。
彼はまた驚きました。現実はあいまいな「友達でいる」ということに手順が求められる、この世界に。
なんとか彼らは友達になりました。そして、彼らはしゃべって協力して冒険しました。
数時間たち、彼らは最初の島を出ることになりました。
船に乗った彼らは新たな街に降り立ちました。時計に目をやると、30分はとっくにすぎていました。
彼は、友達に自分はログアウトしなければならないと伝えました。
「またね」と言葉を交わした友達と、彼が会うことは2度とありませんでした。

でも、彼はその友達の名前を今もはっきりと覚えています。

それから彼は魔法使いになるべく冒険をしました。
どうすれば魔法使いになれるのか、それもわからないままに。
右往左往した彼は、エリニアという街を目指せばいいらしいことを突き止めました。
彼は、右へ歩き出しました。
何度赤い色の殻のでんでんむしに殺されたことでしょうか。ようやくコツをつかんだ彼は、ヘネシスという街に到着しました。
そこには彼がいままで見たこともないほどの数の人がいました。
その街を抜け、彼は森に向かいました。エリニアはそちらのようです。
途中、緑色のキノコに殺されましたが、都合よくエリニアという街で復活しました。

彼は「能力値」という概念に悩みつつ、なんとか魔法使いになったのです。
それから彼は、魔法使いとして冒険を始めました。
まだまだわからないことばかりです。魔法使いなのに能力値をDEXに振ったりもしました。横殴りの意味が分からずに横殴りをしたこともあります。
そして彼は知らず知らずのうちに、自分で調べる術を手に入れたのです。

その調べる過程の中で、彼はブログというものに出会いました。
彼はそれ以前にホームページを作ったことがありましたが、ブログというものはよくわかりませんでした。
たくさんのブログを読むうちに、自分も書いてみたいと思うようになりました。
そこで、彼はブログを作ってみることにしました。ブログの作り方はわかりませんでしたが、彼は自分で調べる術を手に入れたので、大丈夫です。
なんとかブログを作った彼は、ブログのタイトルに悩みました。
悩んだ結果、「メイプルプラザ」というタイトルにしました。理由はよくわかりませんでした。

彼はどんどんメイプルストーリーにのめりこみました。
学校はただ勉強をしに行く場所だと思いました。友達なら、メイプルストーリーの友達でいい、そう思いました。
ただひたすら、彼はメイプルストーリーで遊びました。

ある日、彼はカニングシティーで行われた鬼ごっこに参加しました。彼はあまりに熱中し、ついに彼の母親が怒り出しました。
「そんなにやりたいなら、自分のPCを買いなさい」そう言った彼の母親は、その時どう思っていたのでしょう。
でも彼は、ならパソコンを買おうと決意したのです。その週末、彼は電器屋に行き、ノートパソコンを買いました。

彼のメイプル熱がさめることはありませんでした。
そんな中で彼はとある企画と出会いました。まだ構想からまさに実際に行われる、という段階の企画で、各サーバーの代表者を募集しているようでした。
かえでサーバーの代表がまだいないのを見た彼は、自分がやろうと考えました。
なぜだったのかはわかりません。彼はすでに、学級委員長をやりたがるタイプではなくなっていたはずなのです。

彼は1か月に1回のその企画がとても楽しみでした。
彼はかえでサーバーでの企画の運営の片翼を担っていました。
しかし彼は自分のせいでスムーズに行っていないことに気づいていました。
運営として、少しはリーダーシップを持たねばならないと、彼は思いましたが、どうやら自分は向いていないのではないかということも薄々感じていました。
それでも彼は名乗りを上げた者として活動をつづけました。
その企画はある冬の日、この世界が再構築されるまで続きました。

一晩にして世界は変わりました。と神は言いました
しかし彼は、その世界を前の世界と大差ないように感じました。
地図が、敵が少し変わったようですが、ログインすると友達やギルドの人たちがいるのは変わりない光景でした。
彼にとって世界とは、彼の友達だったのでしょうか。

ある冬、メイプルストーリーに没頭していた彼が、メイプルストーリーをお休みしなければならない日がやってきました。
別にお休みしなくてはいけないわけではなかったのでしょう、でも彼はお休みしようと決めていました。
1年間、やらなければならないことがありました。次の春、笑ってメイプルストーリーに戻ってこれるように頑張ろうと、彼は決意したのです。

それから1年間、彼はメイプルストーリーを全くやりませんでした。
寂しいときはメイプルストーリーのBGMを聞きました。BGMを聞くだけで、そのマップが、そのマップで起きたことが、自然と思い出されます。
彼はそれを糧にがんばろうと思いました。

春、彼は自らたてた目標を達成し、笑ってメイプルストーリーに戻ってきました。

しかし“世界”は変わっていました。

彼にとってのメイプルの世界は、彼の知り合いだったのです。
その時、彼はそれを疑問形ではなく、断定として捉えることができました。
1年間の時を経て、彼の知り合いのほとんどは、メイプルストーリーからいなくなっていました。
それでも彼は、またメイプルストーリーを始めてみることにしました。

夏になり、秋になり、冬になりました。
彼は確信してしまいました。これは彼がかつて遊んだメイプルストーリーではないと。
そう確信したとき、あれだけ熱中した世界が、彼には色あせて見えました。

こうして思い返すと、彼はどれだけのことをこの世界から学んだのでしょうか。
この世界がなければ、今の彼はいなかったでしょう。

そんなことを考える彼は、1人の男子大学生になっていました。