2017/05/31

駅員バイトしてるけど,「振替輸送」のことを何も分かっていない利用者が多すぎるので耳の穴かっぽじってよく聞け.

もうね,ほんとうんざりするんですよ.
どこか他社局線で事故があって運転見合わせ.そして始まる「振替輸送」.
多いんだよなあ,よくよく考えれば自分がおかしいとわかるはずなのに,脳みそを全く働かせずにイチャモンつけてくる人.
あまりに「振替輸送」のことを知らない人が多すぎるので親切丁寧に教えてあげるからよーく聞け.

振替輸送ってなんだ?

まずは言葉の意味から.
聞いたことが無い人はもちろん,大都市圏在住の人もなんとなくわかると思うけれど復習と確認のために.

振替輸送とは、お客様が支障区間の乗車券をあらかじめお持ちの場合で、列車の運転に支障があった際、当社の路線又は当社が他の鉄道会社に依頼して、お客様の所持する乗車券の区間内を、他の経路によりご利用いただくものです。
──運行支障時の振替輸送(東京メトロHP)より引用

わかりやすい状況を例にするとこうだ.

並行して走るブルーライン(青線)とオレンジライン(橙線)がある.
関東なら例えばJRと京急(品川-横浜),JRと京王(新宿-八王子)とか,関西ならJRと阪急(大阪/梅田-神戸)とかを想像してもらえればいい.
…っとここで,ブルーラインのα駅とβ駅の間が人身事故で運転見合わせになってしまった!
復旧までしばらく時間がかかりそうだ!幸い,α駅とβ駅は並行するオレンジラインのα'駅とβ'駅にそれぞれ乗り換えできる!
こういうとき,ブルーラインの利用者がオレンジラインを利用できる.

……というのが,一般的な振替輸送に対する理解だろう.

どういうときに振替輸送を使えるの?

が,一般的理解には穴がある.
もう一度定義をよく見てみよう.

振替輸送とは、お客様が支障区間の乗車券をあらかじめお持ちの場合で、列車の運転に支障があった際、当社の路線又は当社が他の鉄道会社に依頼して、お客様の所持する乗車券の区間内を、他の経路によりご利用いただくものです。
──運行支障時の振替輸送(東京メトロHP)より引用

この「お客様が支障区間の乗車券をあらかじめお持ちの場合で」,というのがポイントである.
つまりどういうことかというと,振替輸送を使えるのは,α駅とβ駅の間を含む乗車券(いわゆる「きっぷ」)や回数券,定期券を持っている人だけ!ということ.

何故そのような条件なのか.
考えれば当たり前なのだが,ここをすっ飛ばしている奴が多いのでよく聞け.
駅でイチャモンつけてるお前だよ,おい.

つまり振替輸送というのは,この場合だとα駅とβ駅の間で輸送サービスを提供できないので,それを利用する権利のある客が並行する他社局線を利用できるように取り計らうこと,である.
例えばこの区間を含む定期券を買った客.彼らはこの区間の輸送サービスを利用する権利を持っていて,既にお金を払っている.
にも関わらず,事故によってしばらくそのサービスを提供できないので,幸い並行する他社局線があるからそちらを使えるようにしますよ,ということ.
普通乗車券や回数券の場合も同様.

となると当然,定期券の載っていないSuica/PASMOで振替輸送を使うことはできない.
だってこの場合だとブルーラインに金を1銭も払っていないのだから.
SuicaやPASMOといったICカードは,降りる時に乗った区間の金額が引き落とされる.
前もってお金を払って切符を買う普通乗車券や回数券,定期券とは性質が異なる.

つまり定期券機能のないICカードだけど振替輸送しろ,ということはよく考えるとおかしいということがわかるだろう.
それは「ブルーラインにもオレンジラインにも1銭も払ってないけど,α'からβ’まで乗せてね!」と言っていることと同じである.
お金を全く払わず電車に乗れるわけ無いだろ.

ここまで噛み砕いて説明すればさすがにご理解いただけると思う.
だが残念なことに,現実には頭のおかしいやつは一定数存在して,これを説明してもなお「なんで俺だけ金払わないといかんのや!」などとゴネる奴がいる.
ただでさえクッソ忙しい時にそんな客の対応に時間を割かれるのは,ほんとに時間の無駄なのだが……

【ここまでのまとめ】
振替輸送を使えるのは,対象区間の乗車券(きっぷ・回数券・定期券)を持っている人だけ!

IC定期券で振替輸送を使う時,改札機にタッチをしてはいけない.

さて,ここまで読んでいただけたのなら,乗車券を別途持っていなければ振替輸送を利用できないことはご理解いただけたと思う.
ここから先はIC定期券を使って振替輸送を利用する場合の注意点の話.

【ケース1】
仮にAさんはα駅より西(左側)の駅から,β駅より東(右側)の駅の間のブルーラインのIC定期券を持っていたとしよう.
西からやってきたAさんは,α駅に来たところでα駅からβ駅の間が運転見合わせになってしまった.
幸いα駅とβ駅の間は並行して走る別の会社の路線があって,振替輸送も行われている.
Aさんはα駅の改札にタッチし一度外に出て,隣りにあるα'駅へ向かった.
改札機にタッチしてα'駅へ入ったAさんは,やってきたオレンジラインに乗ってβ'駅に向かった.
β駅より先はブルーラインが動いているのでここで乗り換えることにしたAさんは,β'駅で下車し,改札機にタッチして外に出て,β駅へと向かった.

この場合何がいけないかというと,振替輸送を行っているので本来払わなくていいα'駅とβ'駅の間の運賃がチャージ残額から引き落とされる.
改札機のプログラムは振替輸送を行っているか,その対象か,といったことまでは考えてくれない.
改札機はAさんがα'駅とβ'駅の間の定期券を持っていないので,その分の運賃を引いた.ただ,それだけ.

【ここまでのまとめ】
振替輸送を使うときは,改札機にタッチしてはいけない!

……残念ながら落とし穴はこれだけに留まらない.
こんな例を考えてみよう.

【ケース2】
Bさんは会社最寄り駅のε駅からブルーラインβ駅・オレンジラインβ'駅乗り換えの,自宅最寄りのθ駅までのIC定期券を持っています.
ある日Bさんが帰宅中,ブルーラインα駅-β駅間で人身事故が発生し,同駅間で運転見合わせとなりました.
オレンジラインで振替輸送が行われることになったので,Bさんは普段とは違いα駅で下車し,隣接するα'駅から振替輸送を利用することにしました.
振替輸送時にICカードをタッチしてはいけないことを知っているBさんは,α駅・α'駅では改札機にタッチをしていません.
その後オレンジラインを利用し無事にθ駅にたどり着いたBさんは,改札機にタッチをして外に出ました.

この場合どうなるかというと,θ駅でタッチをした時点で,改札機はε駅からθ駅まで,改札機をタッチせずに利用できるルートを探す.
ここで図にあるように,ブルーラインとオレンジラインはともに,グリーンラインと直通運転をしていたとしよう.
そうすると改札機は,ε駅→γ駅→δ駅→α'駅→β'駅→θ駅というルートをBさんが利用したと判断し,定期券区間外となるε駅からγ・δ・α'駅経由のβ'駅までの運賃が引き落とされる.

このシチュエーションの場合,ふつうはα駅で下車する時にタッチをするので問題はないのだが,
α駅とα'駅の建物が分かれておらず,1つの改札でブルーラインからオレンジラインに乗り換えができるような場合,乗り換え改札でタッチせず,下車駅でタッチをすると過剰な運賃が引かれてしまう.

ちなみにこれは振替輸送ではなく,ふつうの利用時にも起こりうる問題である.
乗り換え改札で他の鉄道線の構内に直接入れる場合(横浜市民は横浜駅のJR・京急連絡改札を思い浮かべるとわかると思う),そこでのタッチがうまくいかないままそのまま通り過ぎてしまうと,下車駅で信じられないほどの遠回りルートの運賃を引かれたりする.

ICカードの基本は,乗車駅,乗換駅,降車駅のタッチの記録から乗車ルートが導かれ,下車時にタッチをするとその金額が引かれる.
「自分が最後にどこでタッチをしたのか」ということは是非覚えておくべき.そしてその最後のタッチと,これからしようとするタッチでどのようなルートが計算されうるのか,ということに注意が必要である.
でもまあ,それは結構難しいことだと思うし,

【まとめ】
改札機にタッチをするということは何らか運賃が引かれうるということ.
不安に思ったら窓口にいる駅員に相談しよう!

……ということ.
「えいやっ」とタッチをしたあとに,「運賃が多く引かれていますおかしいです」という申し出があるより,タッチする前に確認しにきてもらったほうがお互いに楽.
「ほう・れん・そう」が大事なのは仕事だけじゃないのよ.

ということで,ここまで駅員バイトをしてきた経験から,振替輸送関連で知っておくべきにも関わらず認知度が低いなあ,といういくつかのトピックについてお伝えした.
正しい使い方を知って,快適な振替輸送ライフを!
…まあ,多くの場合振替輸送は大混雑して快適なんて程遠いんだけどね.

0 件のコメント:

コメントを投稿