2016/12/12

「キュレーション」って何だ?/“まとめブログ”のつぶしかた

プログラミング関係の徒然ブログになるかと思えば旅行の話題が主になり,かと思えば怒涛のカメラ関連記事の更新が続いているここ最近であるが,世間を賑わすDeNAのキュレーションサービス騒動について色々思うところがあるので,久方ぶりのつぶやき記事と行きたい.
テーマはタイトルの通り,「キュレーション」って何だ?と“まとめブログ”のつぶしかたであり,言うなればこれは両A面シングルのようなものであるが(もしかして死語か?),一応「引用」というひとつのテーマに沿った記事になっている.

「キュレーション」って何だ?

今回の騒動でキュレーションがどうだこうだという報道が飛び交っているわけだが,キュレーションって言うほど認知度高いか?ということで,まずはその基本的概念を簡潔に理解したい.

颯爽と新しいタブを開きGoogleで「キュレーション」と検索.コトバンクにいい感じにまとまっているのでこれを読む.
これを簡単にまとめるとだいたい以下のようになる.

  • おおもとの意味は博物館や図書館の管理人からきている.
  • 彼らは自らの価値判断で作品や図書を収集し,展示する.
  • これをインターネット上のコンテンツで行われているものが,今言われる「キュレーション」.
コトバンク『キュレーション』をもとに作成

インターネットには星の数以上に種々雑多なコンテンツが溢れている.それをキュレーターが何らか特定の観点のもとに収集し,まとめる.
そこに新たな付加価値を生みだすのがキュレーションである.

キュレーションについて簡単に理解した上で今回のDeNAの騒動に関する会見を見ると,大きく3つの問題に分解できることがわかる.
それは,
(1) まとめの作成をDeNA側からライターに依頼していたこと.
(2) (1)においてまとめのガイドラインが詳細に定められていたこと.
(3) (2)のガイドラインにおいて正しい引用がなされないような仕組みが構築されていたこと.

以上の3点である.
これらについてそれぞれ見ていくと,……

まず(1).実はこれは単体ではさほど重大な問題にはならない.
DeNAをはじめとして,各社が提供するのはキュレーションのツーサイド・プラットフォームである.ツーサイド・プラットフォームというのは,簡単に言うと需要側と供給側を結びつける場のことである.
例えばわかりやすい例で言うと,「楽天市場」がある.楽天市場は楽天自身が何かモノを売っているわけではなく,インターネット上でモノを売りたいお店とインターネットでモノを買いたい消費者を結びつけているだけにすぎない.
(1)はつまり,実は一般人が作っているまとめだけではなく,DeNAがライターに依頼して書かせた記事がありました(まあ実態から言えばほぼ素人に任せてたみたいなので広義の一般人にあたると思うが),ということである.

悪意的な見方をすればこれは所謂「やらせ」なのだが,個人的には別にそれ自体が悪とは思わない.
というのも,ツーサイド・プラットフォームビジネスは,需要側と供給側に正の循環を生み出さないと成り立たないからである.
楽天の例に戻るが,早い話,「出店者がほとんどいないショッピングモールで買い物するか?」「消費者のアクセスがほとんどないサイトでモノを売りたいか?」ということである.
要は,需要側・供給側共に,相手方がある程度存在しなければお話にならない.需要があるから供給側が参入し,供給が十分あるから需要側も寄ってくる.その正の循環が必要になる.
よって,プラットフォーム提供開始の初期段階において,運営側が一枚噛んでその正の循環を生み出すための起動力を生み出そうとするのは,戦略としては間違っていない.
まあ「あくまで我々はプラットフォームを提供しているだけですよ」みたいな見せ方をしていたのはやや姑息な気もするが,それ単体ではそこまで問題にはなりそうもない.
というか,もっと悪どいやらせが横行してるメディアがあるでしょ,どことは言わんけど.

次.(2)について.
(1)を受けて外部のライターに記事執筆を依頼していたわけだが,その際に一定のクオリティを維持するためにマニュアルを作りました,ということ.別にこれもそんなに悪いことではない.
何かを依頼する時に「こういう形にしてください」と要件を定める.なんと美しいことか.受託側もそれがないと困る.
糞みたいなボンヤリした要求を突きつけて永遠に完成しないシステム構築をさせる道に突き進むどこかよりは大層マシであると言える.どことは言わんが.
ただし報道を見ると,どうも内容のクオリティを維持するためのガイドラインではなく,後述のように「どうまとめるか」に傾倒したマニュアルであったことは問題だと思う.
少なくとも「肩こりは幽霊のせいかも」みたいな頭のおかしいまとめを生み出さない程度には,内容に関する縛りが必要だったんではなかろうか.

最後に(3).これがかなり重大だった.
そもそも「まとめる」という行為自体に問題はない.……ただそれが,正しく引用されたものならば.

まともにレポートや卒論を書かせる大学に行けば間違いなく口を酸っぱくして教え込まれるのが,レポートや卒論における「引用の仕方」.
出典を明確に示すこと,引用の内容と自分の主張の内容のバランス,引用のスタイルetc……様々あるが,根底にあるのは剽窃はいかんでしょということ.
逆に言えば,正しく引用を行っていれば,その行為には何ら問題はないのである.

ところが,DeNAのマニュアルでは文末を変えて完全な剽窃とは言われないようにしろとか,著作権法のギリギリを突くようなものになっていた.
東洋経済のDeNAリライトマニュアルの巧妙すぎる手法によると,どうも自社の法的責任が問われないようなラインを巧妙に突くような内容になっていたようだが,世間はそれを認めてくれなかったということだ.

ここまで見てきたように,今回のDeNAの一件で本当に問題だったのは,個人的にはその引用の仕方の部分にあると思う.
最初にも書いたとおり,引用さえしっかりして,キュレーター独自の観点を含むのならば,キュレーションは新たな価値を生み出す有用な手段になる.
ただ,地上波でもこの一件が報じられ,上述の(1)から(3)がごちゃ混ぜになったまま「キュレーションはインチキ」みたいな風潮が広がってしまいそうなので,それが今回DeNAの行動の結果生み出された最大の社会的損失なのかなあ,と思う.

“まとめブログ”のつぶしかた

今回の一件,地上波の報道では「キュレーション」ではなく「まとめサイト」というような表現が使われていたように思う.
キュレーションという言葉が一般的に浸透していないという判断からだと思う.

しかし個人的には「まとめサイト」はやや広義な捉え方をなされるべきだと思っている.
キュレーションプラットフォームもまとめサイトなのだが,所謂「まとめブログ」と称される,2chまとめの系譜にあり,2chからの転載を禁じられたサイト群を狭義の「まとめサイト」として,その形態としてブログを利用するものを「まとめブログ」とここでは呼ぶことにしたい.

キュレーションは引用を正しくし,まとめる人独自の観点や考え方が含まれるのであれば新たな価値を生み出す可能性があると述べた.
しかし,多くのまとめブログはそうではない.
というのも,彼らの多くは単一ソースに加齢臭がするAAで適当なコメントをつけているだけ,というスタイルである.
これはそもそもまとめてすらいないし,最後にちょろっと自分のコメントを付けるだけでは正しい引用とはみなされない.ブログではなくTwitterかなにかでやれ,という話である.
ということで「まとめブログ」の多くは著作権法的にアウトなので,然るべきところに通報すれば潰すことが可能である.
……というか,DeNAの一件で所謂「まとめ」(広義のほうだが)に対する世間の目が厳しくなっている今,そのハードルは著しく低くなっているように思う.今目をつけられるとDeNAとゴチャ混ぜてボロクソに叩かれる可能性があるので,積極的な対応を引き出せる可能性は2ヶ月前よりは明らかに高い.
なので,このビッグウェーブに乗ってGoogleに通報してAdsenseを剥がすよう申し入れるとか,ブログサービスに通報するとかすれば,結構簡単に「まとめブログ」は潰せるんじゃないかなあと思う.

キュレーションにしてもまとめサイト(狭義)にしても,正しい引用の仕方を正しく教育されていればこんな悲劇は起こらないと思うのだが,さーてどうしてそんなことになってしまったのか.

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